Okinawa Art Stationについて | 沖縄アートステーション

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あなたは、ひと月にどのくらいの割合で美術館に行きますか?
1回?5回?10回?
画廊にはよく行きますか?
画集等を見てひとときを過ごす事は、ありますか?
部屋に絵画が飾られていますか?
美術を楽しんでいますか?

 どれだけの人が、普段の生活の中に美術を取り入れているでしょうか?

 沖縄には、年に1度行われる美術の祭典、『沖展』があります。毎年多くの方々が訪れ、様々な美術作品に触れ、楽しみ、賑わっています。きっと1度は行かれた事はあると思います。
 首里城の麓には、日本で5つしかない国公立の芸術大学の一つである『沖縄県立芸術大学』があります。ここでも毎年1度、卒業生、修了生による『卒業・修了制作展』が開催されています。大学で芸術を専門に学んだ学生たちの成果を発表する場であるこの展示会は、現代美術の祭典とも捉える事が出来ます。そんな展示会が開催されている事は、ご存知でしょうか?
 沖展は行った事はあるけど、沖縄芸大には行った事が無い、またはそんな展示会が行われていること自体知らないといった人は、意外に多いのではないでしょうか?現代美術なんでしょ?よく分からないものでしょ?という風に思っている方も多いのではないでしょうか?
 本当は、『沖展』の作品たちも、沖縄芸大の作品たちも同じ『現代美術』なんですけどね。
 なぜ『沖展』には足を運んで、沖縄芸大には足を向けないのでしょう?しかも『沖展』は入場料を取るにも関わらず。沖縄芸大の展示会は無料なんですよ。そうなんだ、知らなかった!っといった声が聞こえてきそうです。
 でもまだ『現代美術』という言葉に抵抗があります。『沖展』にある作品には、きれいな花や風景や人物が描かれていてよく分かるのに対して、『現代美術』ってどう見ていいか分からないし、何なのか分からないし、良いのか悪いのかが分からないし、、、。美術館って敷居が高く感じるから、なかなか足が向きづらい。画廊、ギャラリーもやはり同じです。このように美術に対して抵抗感を感じるのは、美術館に、画廊に美術作品を見に行くという『習慣』がないからです。
 この事はそのまま沖縄の、日本の文化レベルを示していると言えます。
 例えば、現代美術の中心地と言えるニューヨークでは、公立の美術館(例えばメトロポリタン美術館等)の入館料は、無料か又は任意($1でも可)なのです。これなら、いつでも行く気になれますよね。またウォール街の様々な商社オフィスには、アンディー・ウォーホルやフランク・ステラ、ジム・ダインなどの作品が普通に飾られていて、毎日サラリーマンはそれらを目にしながら仕事をしています。当然、自宅では花や写真と同様に、絵画作品が部屋を彩るために飾られています。
 数あるギャラリーには、まだ名も知れない若手の現代アーティストが、自分を見て!!と言わんばかりに斬新な作品を展示しています。まだ誰も価値を見いだしていないような新しい作品でも、良い作品は売れていきます。
 あるギャラリーの前を通り過ぎようとした、年配の方がどうもその作品が気になったようで、なんだか良く分からないんだけど、凄く気になる!見れば見るほど、気になって仕方が無い。遂には、その作品を購入して自宅に飾る事にしました。そしてこの作品と生活を共にしていくのでした。といったストーリーは、作り事のように聞こえますが、日常生活の一場面なのです。日常の中に美術を楽しむ環境がある事でそれぞれ目が肥やされ、心が育まれ、楽しむ力が生まれてくると、新しい出会いや出来事が生まれてくる。そうすると、社会自体が活気に満ちあふれてくる。俯瞰してみると、社会全体が豊かな文化、生活習慣を身につけている事になります。このような「習慣」といったものは現在の沖縄、日本にはまだ身に付いていないと言えます。
 美術を体験しようとする習慣が無いから、無関心になってしまう。その無関心さは、逆に経済活動の無駄を指摘する事になります。県内に住む私たち一人一人の税金で成り立っている県立美術館や沖縄芸大といった施設は、活用されなければ、無駄な経費です。経済的な豊かさだけを求めるならば、無くした方が良いのかもしれません。もしそんな世界になったとしたらどうなるでしょうか?想像してみて下さい。

 かつて沖縄には優れた芸術作品があふれていました。紅型や陶芸、琉球漆器など、その技術と質の高さは、隣国の中国から認められるほどのものでした。このように優れた芸術作品により作られる生活様式は非常に高い文化レベルを持ち、豊かな生活をおくっていたといえます。

 芸術作品の意義は、生活の中にあって初めて出てきます。普段の生活の中で芸術作品に触れる事により、刺激を受け、感性が育まれ、単調な毎日が驚きや歓びのある刺激的な日々に変わるのです。そうする事でより良く生きたいと思うようになる。生活が豊かになった証拠です。豊かな生活習慣は、豊かな文化を育みます。
 この土地に住む一人一人が、美術に関心を持ちそれを育んでいく事は、結果この土地の文化を社会を豊かにしていく事に繋がります。
 豊かな生活、豊かな社会を作り出していくため、美術に触れていく、作り出していくすべての活動に対して支援していく事、アーティストと社会、個と個を繋いでいく事、そして沖縄のアイデンティティーを復興させていく事が、OKINAWA ART STATIONの使命と考えています。

OKINAWA ART STATION
代表
黄金 忠博